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二硫化モリブデンショットとは?
固体潤滑剤として高い潤滑性能を持つ二硫化モリブデン粉体を摺動部表面に高速衝突させることで、二硫化モリブデン被膜を形成、または浸透拡散することが可能です。
これにより摩擦抵抗を大幅に低減し耐摩耗性が向上します。一般車両のピストンスカート部や家電製品にも採用されており、低摺動効果の大きいバインダレス固体潤滑剤層を形成する技術です。
二硫化モリブデンショットの特徴

二硫化モリブデンショットは、固体潤滑剤をコーティングする方法と違って、バインダー(結合剤)を一切必要とせずに高純度(98.5%以上)の二硫化モリブデンを摺動部に高速衝突させて、表面を含む最表面に固体潤滑剤層を形成することができるため、摺動抵抗低減効果が大きいことを特長としています。
又、アルミ合金などに二硫化モリブデンを高速衝突させると、熱拡散反応で創製された金属間化合物によって密着しているため、はがれや磨滅に対して非常に強固になっており、長期間に渡り摺動抵抗低減が持続されます。
二硫化モリブデンショットの効果
二硫化モリブデンショットが同じ物質を用いるコーティング処理より効果が大きくなるのは、コーティングの際に必要なバインダーを 一切含有してない高純度の二硫化モリブデンを付与させて、本来有する低摺動効果を十分に発揮できるためです。
二硫化モリブデンショットの採用例
市販乗用車でWPC処理が採用されたのは、ホンダのエンジンです。まず2000年のシビックではピストンリングのNo1リングとピストンのスカート部にマイクロディンプル(MD)処理が行われました(1999年のインサイトでも採用)。ミクロ的に見ると、ピストンやリングの表面は先端鋭角形状部分が存在し、そこからオイルが逃げてフリクション増加の原因となってしまいます。
MD処理を行った金属表面ではオイルを逃がさず、保持して潤滑ができるためフリクションが低下します。グラフ(上部)にもあるように、エンジンを使った実験結果では他のコーティングよりも優位なフリクション低減効果を発揮しています。
次に2001年に登場したフィットではモリブデンショットが採用されました。このピストンには高純度の二硫化モリブデンを高速衝突させて、処理表面から4μm程度まで浸透して強固に結合するため、100時間耐久試験後の摩耗状態でもモリブデンが残り、フリクション低減効果も変わっていないことが確認されています。
このようにエンジンのフリクション低下に大きな効果を発揮するWPC処理は、自動車メーカーだけではなく、部品メーカーやチューニングショップにも多数の導入実績があります。MD処理やモリブデンショットはガソリンエンジンのピストン、ピストンリング、メタルに、ディーゼルエンジンではピストンやプランジャーなどに採用されています。
又、トランスミッションギヤへの採用も増加してきており、燃費向上や部品の小型軽量化などに貢献しています。
